これが僕の愛だ1

「こちらが、沢口みのりちゃんです」
さとるが、目の前にいる男の人に向かってわたしを紹介した。
海辺のカフェで別々に待ち合わせ、つい先ほどテーブルを囲んだばかりの三人。
緊張感からか、わたしは少しふわふわしながら、その場の空気を感じていた。
わたしとさとるは大学の同級生で、卒業してからも馬が合い、時々一緒に呑みにいく友だちだ。
わたしと初対面の男の人は、さとるの中学時代からの友だちで、幼なじみだと聞いていた。
「で、こっちが、有馬もといくん」
「もとい?」
さとるが彼を紹介してくれたとき、めずらしい名前だと感じ、思わず聞き返してしまった。
「うん。基本の基って書いて、もといって読むんだ」
さとるが空中に字を書いて説明する。
「へえ。初めて聞く名前だなあ」
わたしが他愛ない感想をいうと、
「「基」って、「墓」っていう字に似てるでしょ」
もといくんは、真顔ですこし不気味なことを言った。
「そ、そう……だね」
「時々、書き間違えるんだよね。なんか憑いてるのかもな」
基くんてきれいな顔をしているけど、ちょっと少し変わった人かもしれないと思った。
「もとくん。みのちゃん、怖い話ダメだから」
さとるが基くんに言った。その呼び方が子どもっぽくて、いかにも幼なじみという感じがかわいらしい。
「べつに、それくらいなら大丈夫だよ」
「なに言ってんの。サークルの合宿のとき、夜の怖い話大会で、みのちゃんガマンできなくて逃げ出して、捕まった時に大声あげて気絶したじゃない」
「あれは気絶じゃないよ! 眠くなったから部屋に戻ろうと思って、そのまま廊下で寝ちゃったんだよ」
「派手な就寝の仕方だね。毎晩そうなら、困るかも」
基くんは顔色を変えずにそう言うと、コーヒーのカップに口をつけた。

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